「ポートランドで誰か本格的なラーメン屋やらないかな。。。絶対流行るって!」

と言っていた無責任な日本人は私でした。

ポートランド郊外、シアトル郊外、バンクーバー・キャマスWAにて巣鴨アドバンススクール(学習塾)とビーバートンにて巣鴨キッズ(幼稚園)を運営しています、みとのやです。

今でこそ、大手ラーメン店も大成功しているポートランドですが、その影では私のような素人では想像もつかないようなプロたちの苦闘があったことでしょう。

本日は、美味しいラーメンレビューではなく、ポートランドのラーメン事情についてお伝えいたします。

ポートランドのラーメン

私が学生時代を過ごしていた2000年頃には、ポートランドにラーメン専門店は一つもありませんでした。

あくまでも日本食レストランのメニューの1つ。

日本食レストランに行くと、試しにラーメンを注文したものです。

しかし、どれも日本で食べられる本格的なラーメンとは違いました。

ラーメンってアメリカでは流行らないのかな、と思っていました。

日本に一時帰国の時の楽しみといえば、ラーメンを食べることでしたね。

NWのラーメンブーム

流れが変わったのが2012年12月のラーメンチェーン店、空海のベルビュー(シアトル郊外) への進出でしょう。

シアトルに行けば旨いラーメンが食える!とポートランドから3時間の運転でラーメンを食べに行ったのを覚えています。

そして空海のラーメンの美味しいこと!

参考記事:What it Takes to Bring Authentic Japanese Ramen to America

空海はKizukiへと名前を変えて大躍進を遂げます。

現在2019年10月にはワシントン州に8店舗を含む12の店舗を全米展開しているのです。

その1つの店舗はオレゴン州ビーバートンにあります。

今では、平日のランチでも30分から1時間待ちのレストランになりました。

ラーメンって回転率高いのに。

オレゴンの人たちなんて、一番列に並びそうにない人たちなのに。

そして空海(現Kizuki)がポートランド郊外に進出すると同時に、MarukinやAfuriも進出。

2015年6月にKizuki(空海)

2016年4月にMarukin

2016年10月にAfuri

まさにこの時期からがポートランドのラーメンラッシュでした。

参考記事:Why Are Tokyo Ramen Shops Suddenly Taking Over Portland?

日本のラーメン店が続々と進出。

その影では、日本からではないラーメン屋さんも登場。

ビーバートンウワジマヤの店内にある「ラーメン龍馬」や「Kayo’s Ramen Bar」がいい例でしょう。

その他にも、「ラーメン一歩」や「まごころラーメン」や「ラーメンシロ」などフードカートで経営しているところもあります。

まだまだこのブームに乗ってポートランドのラーメン店は増えることでしょう。

ラーメンをアメリカで作るって大変?

ラーメンなんて、日本から輸入してくるか、アメリカで食材でも揃えて作れば簡単にできるんじゃない?

なんて素人の私は思ってしまうのですが、ことはそう簡単ではありません。

輸入1つにとっても、FDAというアメリカ政府の認可が必要になります。

アメリカでそろえられる食材と日本の食材は全く違います。

例えば、冷凍食品会社に勤めている方に聞いた話なのですが。

アメリカで食品の工場を建設するとなった場合。

単純に日本で使っている機械を輸入して工場を作れば良い訳ではありません。

アメリカと日本の衛生基準が違うために、全く違う機械をゼロから作らないといけないそうです。

その方は、もう二度とアメリカで工場建設はしたくないと言っていました。

機械1つとっても、政府の認可を得るのに相当な時間を要します。

ラーメンの具材などもそうでしょう。

工場建設に必要な機械の輸入とは違うでしょうが、具材にしても1つ1つ、FDAの許可が必要になるのです。

そのためには、日本の食材会社にFDAの取得をお願いする、そのための機材も揃えてもらうなど相当な苦労があったはずです。

参考記事:What it Takes to Bring Authentic Japanese Ramen to America

ラーメン屋さんのメニュー

アメリカのラーメン屋さんのメニューの特徴として、ラーメンだけで勝負しているレストランはありません。

必ず唐揚げ丼やチャーシュー丼などラーメン以外のメニューを提供しています。

お酒なども豊富に揃えています。

内装

お店の雰囲気も大事です。

日本のラーメン屋って、よく言えば職人のイメージですよね。

ラーメンさえ上手ければ、多少お店が汚くてもお客さんは受け入れる。

お客さんも男性が中心でしょう。

券売機なんかもありますしね。

とにかく安く!早く!カロリー高い!というイメージ。

しかし、アメリカのラーメン店はどこも内装にこだわっています。

女性はもちろん、家族でも入りやすいのが特徴でしょう。

参考記事:Japanese restaurant chains are conquering the U.S., but there's more to it than ramen

ラーメンの値段

値段も違いますね。

アフリを例にすると、日本の恵比寿店では980円で提供されているゆず塩ラーメン。

ポートランドでは$14(1500円)です。単純に1.5倍です。

海外に進出して単価をあげるという手法はどこのラーメン店も上手にやっています。

むしろ、アメリカの値段が正常で日本のレストランの値段が低すぎるとも思います。

日本の値段で提供していたら、従業員に還元は難しいだろうな、と一経営者は思うわけです。

アメリカのラーメンの値段の方が正常な気がします。

過去のポートランドを知っているからでしょうか。

$14で本格的なラーメン食べられるなら、喜んでお支払いします。

一時帰国してまでラーメンを食べるよりも安くすみます。

参考記事:アメリカから見た日本

メニューの種類

日本人はA定食やB定食など決められたメニューを好みます。

他人に決めてもらうのが好きなんです。

これは島国であり、多様性がない社会では当然です。

誰かにオススメされたら、それが自分にとって美味しいはずなのです。

その誰かは、自分に似た味覚をもっているはずだから。

ただアメリカは違います。

多様性がありすぎる。

誰かのオススメが、必ずしも自分の嗜好に合う訳ではありません。

そのため、こちらではA定食とかはメニューにありません。

たくさんのメニューの中から選びます。

アメリカの人たちは自分に選択権があるのが好きなんですよね。

サブウェイだって、何を入れるか全部自分で決めるんです。

日本人ならサブウェイでこう聞くでしょう。

「このサンドイッチなら、なんの野菜とソースを入れたら美味しいの?」と。

その質問自体が間違っているのです。

なぜなら、店員さんと自分は違う民族、違う環境があります。

日本人同士のように、似たような嗜好を持っているわけではないから。

「何が美味しいかって?そんなの自分で確かめるんだよ」というアメリカの人たちの声が聞こえてきます。

アメリカのラーメンはぬるい?

アメリカのラーメンってぬるめなんですよね。

熱々のスープではありません。

それには理由があって、アメリカの人は猫舌が多いと聞きます。

熱々のラーメンでは食べられないのです。

また、麺をすすらずに、ゆっくり食べます。

パスタもそうですが、音をたてて食べるなんて言語道断です。

スープも最初から飲みます。

猫舌、麺もすすらない、スープを飲む文化、そのためにスープはぬるめに設定するのです。

参考記事:Japanese restaurant chains are conquering the U.S., but there's more to it than ramen

まとめ

NWやポートランドで流行っているラーメン。

プロのラーメン屋さんによって、影で相当な苦労があって、ラーメンブームを実現させています。

FDAの許可から始まり、メニューの調整、味や熱さの調整。

今回は触れませんでしたが、アメリカの従業員だって日本人とは全く違うわけですからね。

店舗をスタートするのさえ大変でしょうが、運営するのだって、並並ならぬ苦労があることでしょう。

そんな食品業界の苦労も知らない日本人の私は恥ずかしながらこんな発言をしていました。

「ほらね!俺の言った通り!ポートランドならラーメン流行るって言ったでしょ?」と。

いやぁ、無知って本当に怖いですよね。。。

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