息子にも旅立ちの時が来て、妻も朝から号泣しております。

ポートランド郊外、シアトル郊外、バンクーバー・キャマスWAにて巣鴨アドバンススクール(学習塾)とビーバートンにて巣鴨キッズ(幼稚園)を運営しています、みとのやです。

息子もいつの間にか大きくなってしまい、ついに旅立ちのときが来ました。

そうです。

ついに!

自分の部屋で!

自分のベッドで!

息子が寝るようになったのです!

わーい!

あれが欲しい!

ことは友人宅の二段ベッドを見たことがきっかけでした。

「僕もあれが欲しい!」と息子。

出たよ、幼児の「あれが欲しい」攻撃、と私は細い目で彼の話を聞いていました。

もちろんあれが欲しい攻撃だけでやられるようなヤワな大人ではありません。

こちらも物を増やしたくない!という大人の事情があるわけです。

あれが欲しい、これが欲しい、という要求に全て対応していたら、家は不用品で溢れかえります。

ときめくものだけ残すってコンマリさんも言ってました!

そんな大人の事情を、大人の論理で丁寧に説得を試みます。

「だめだからだめ!」

そうです、この一言が大人の論理を全て物語ります。

「どうせ一人で寝れないでしょ」

生まれてからずっと妻と一緒に寝ていた息子。

「うーん」と右斜め上に目をやりながらも、反論してきます。

「二段ベッドを買ってくれたら自分独りで寝れる!絶対に!」と。

「無理」という大人 vs 「絶対!」という子供。

そんなやりとりから数ヶ月。

二段ベッドを買ってくれたら独りで寝ると言い続けたので、私たちも重い腰を上げました。

ベッドを買いにIKEAに。

ちなみに、そんな二段ベッドの話をうちの父に相談すると、快くスポンサーになってくれることに。

「この記事は、じいじとばあばの提供でお送りしております。」

TVでCMが入るたびに、子供ながらに、「提供」ってなんだよ、CM入れるなよ、と思っていました。

大人になった今、提供してくれるってありがたい!と心から思います。

そして、このバンクベッドを購入。

子供が好きそうな飾りもつけると合計220ドル。

スポンサーサイドから打診が。

「そんなに安いので大丈夫?」と。

まぁ、当人がこちらをご希望なら仕方がない。

重い木材を家に持って帰ってきて、自分たちで組み立てです。

IKEAの商品は自分で組み立てができるという優れもの。

私なんてraised bedを1から作るだけでも本当に苦労しましたから。

誰でも組み立てられるように設計してあるIKEA商品のすごさを実感できます。

こういう時、息子にも必ず手伝ってもらいます。

ベッドを組み立てるのがどれだけ大変かを実感して欲しい、という建前があり。

組み立てでがんばったお父さんを認めて欲しい、という本音も見え隠れしてます。

少しだけでも手伝ってもらう。

こういう一手間って大事です。

息子も「このベッド考えて作った人って天才だね!」と言ってたので、目的は達成。

あとは私がひたすら組み立てます。

IKEAの方々、本当にありがとうございます!

そして夜の9時ごろ、ベッドの完成。

そのまま息子はベッドで就寝。

笑顔で眠りにつく息子。

息子を寝かしつけなくてよくなり、妻は久しぶりの夜を満喫しておりました。

翌日の朝

そして次の日の朝。

私はいつも通り、ベッドから起き上がり、キッチンに向かいました。

キッチンでは妻がしゃもじでご飯を取り分けていました。

うつむいていたので、おはよう、と声をかけると。

妻がご飯ではなく、涙をこぼしていました。

「えぇ?どうした?何があった?ご飯失敗?ご飯で泣いてるの?」と私は困惑。

妻がしゃっくりしながら言います。

「いつもなら(息子は)私が隣に寝ていないと、夜中に起きてきてね。「お母さん」って泣いてたから、どうせ今日も来るんだろうな、と思ってたの。でも一度も来なかった。一度も夜中に起きてこなかったの。このままどんどん成長して、いつか家を出ていくんだ、と思うと涙が止まらない」と。

まるでコキンちゃんのように涙を流す妻。

私も最初は「いやいや、まだ5歳だし。最低でもあと10年は同じ屋根の下だし。っていうか初めて一人で寝てるだけだよ」と妻をなぐさめていたのですが。

妻をハグしながら、今までのことが走馬灯のように映し出され。

息子が生まれた時エイリアンみたいな顔だったことや。

オムツを替える時に、おしっこが飛んできたこと。

ガルガル期に妻に壁ドンされて殺されるかもって思ったこと。

大好きだった機関車トーマスのことをマスーと息子が言っていたこと。

どうでもいいことから、どうでもいいことまで。

振り返ると全てがあっという間に過ぎていって。

そんなことを思い出していたら、私も涙がボロボロ出てきて。

あれ?涙が出てくる、と。

そして、夫婦揃って涙する朝。

夫婦揃って涙を拭う朝。

ただ息子が一人で寝たというだけ。

キッチンでしゃもじを手にしながらオイオイ泣く夫婦。

第三者が見たら、この夫婦は一体どうした?と思っていたことでしょう。

息子の部屋に行くと、彼は幸せそうに二段ベッドでぐっすり眠っていました。

妻は続けます。

「独りで寝れたからか、想像以上に私もぐっすり眠れて。すごく快適だったの。それが切ない」と更に笑いながらの涙。

妻もいったい自分が何に泣いているのか、わからなくなってきた様子。

そんなお父さんお母さんを知ってか知らずか、普通に起きてくる息子。

今までなら起きた時にお母さんが隣にいないと泣き叫ぶ息子。

「ママー!」と泣き叫んでいた息子。

私が迎えに言っても。

「ママじゃないと嫌!」と言っていた息子。

それなのに普通に目をこすりながらキッチンまで歩いてきた息子。

そんな息子の成長を嬉しく思いつつ寂しく思い涙する妻と私。

3人でハグしました。

「どうしたの?」と息子は疑問に思いつつ、長い間ハグさせてくれました。

一人の息子が初めて自分の部屋の自分のベッドで寝たっていうだけのこと。

でもそんな小さなことは、私たち家族にとっては大きな出来事でした。

息子にとっては親離れの第一歩であり、私たち夫婦にとっては、子離れの第一歩なのかもしれません。