わが家に届いた一つのロッキングチェア。これを2階に持ち上げるのに、家族で怒鳴り合いになるとは。

ポートランド郊外、シアトル郊外、バンクーバー・キャマスWAにて巣鴨アドバンススクール(学習塾)とビーバートンにて巣鴨キッズ(幼稚園)を運営しています、みとのやです。

うちに荷物が届きました。

そうです。ロッキングチェアです。

クッションつきの椅子です。

ソファのほうがしっくりくるかな。

これが結構重くてですね。

30キロ以上はあるでしょうか。

揺れるために底には鉄が使用されており、それが重い理由の一つです。

今回、このロッキングチェアを1階から2階に運ぶ、という指令が妻から下りました。

ロッキングチェアを誰と運ぶ?

このロッキングチェア、1人では2階まで運べなかったんですね。

でも、大人2人なら運べるであろう大きさと重さ。

そんな大きさと重さのロッキングチェアです。

妻はその時、重いものは一切運べない状態、ということで。

妻の力を借りることはできません。

私には一つの考えがありました。

この重たいロッキングチェアを9歳の息子と2人で、2階に運べるのではないか、と。

友人を家に呼んで助けてもらえれば良かったのですが、私は息子と2人でできると思ってしまったんですね。

毎回のように妻から言われます。

読みが甘い、と。

我ながら、ブログにはもってこいの読みの甘さだと自負しております。

妻は言います。

引越し業者を呼んでロッキングチェアを上に上げてもらおうよ、と。

私は逡巡しました。

引越し業者さんでも、便利屋さんでも来てもらえたら、もちろんなんの問題もなく任務完了でしょう。

でも、お金で解決していいのだろうか、と。

確かに、お金さえ払えば、業者さんを呼んで、問題は解決できる。

でも、重たいロッキングチェアを2階に上げるチャレンジという体験を失うことになる。

ならば、内々で問題を処理するべきではないのか。

みすみすブログネタを手放すなんて、もったいない。

よし、やっぱりやろう!と。

いざ、準備!

決めたら行動です。

まず、ハンドトラックという道具を買いました。

引越し業者さんが持っている道具ですね。

最大で300キロも運べるハンドトラック。

ちなみに90ドルしました。前から欲しかったので、躊躇なく買いました。

これがあれば、どんな重い荷物も、テコの原理を利用して持ち上げ、車輪で軽く動かせます。

重いものだって2階に運べるはず。

息子と一緒にロッキングチェアを2階に運ぶために、階段の手前まで動かすことにしました。

Youtubeで研究し、サランラップでロッキングチェアをぐるぐる巻きにしてハンドトラックから離れないようにします。

何重にもしてぐるぐる巻きです。

サランラップってさまざまな使い方があるものですね。

そして、決めるべきは息子と私のポジション。

息子に下から押してもらうか、上から引っ張ってもらうかの選択がありました。

父親として、息子にリスクを負わせるわけないはいきませんので、息子は上から持ち上げる役をやってもらいました。

私は下です。

万が一、ロッキングチェアが階段の途中で転がり落ちても息子は助かります。

私は息子なら持ち上げることができるはず、と思っていました。

いざ、階段へ

そんなに長い階段ではありません。

1階から2階にいく階段は全部で11段です。

さぁ、いざ呼吸を整えて開始です。

全集中!

「いくよ!いいかい?」

おう!と息子も威勢がいい。

下からグッとロッキングチェアを押し上げると、意外にも階段を一つずつチェアが上がっていきます。

息子も歯を食いしばって、上から必死に引き上げます。

「おぉ、結構イケるじゃない!その調子!」

私も下から力の限り押しあげます。

1つ、また1つと階段を上がっていきます。

ものすごく調子が良かったので、私は拍子抜けしていました。な

なーんだ、簡単じゃない!と。

しかし、4段目に差し掛かった時、息子は急にハンドトラックから手を離しました。

私の腕にずしりと重くのしかかるチェア。

額の汗を腕でぬぐう息子。

彼は言い始めました。

もう無理、と。

私はわが耳を疑いました。

私は重いロッキングチェアを下から支え腕をプルプルさせながら、叫びました。

「いやいやいや!ここまで来れたんだよ!あと半分だよ!(本当はあと7段)」

かなり大声で叫びました。

もう腕がちぎれそう。。。と息子。

「大丈夫!腕がちぎれた人なんていないから!(いや、知らんけど)」と腕がプルプルでこっちの腕がちぎれそう、と思いつつ適当に励ます自分。

「あと少しだから!」

もう無理!

「大丈夫だから!」

もう無理!

泣きそうになる息子。

もう怒鳴り合いです。

こちらも命がかかっています。

このままロッキングチェアが転がってきたら、私は潰されます。後がありません。真剣です。

そして、この怒鳴り合いで、2階のベッドルームにいた妻も部屋から出てきました。

え?何が起きてるの?

「見てわかるでしょ!階段で行き詰まってるの!」と大声で言う私。

私からはロッキングチェアで妻の表情は見えません。

1人で上げられないの?

「無理!」と私。

1人で下げられないの?

「無理無理!これ階段から下げた日には、勢い余って、押しつぶされるから!大怪我するよ!」叫ぶ私。

ちょっと誰か呼ぼうよ!友人Jは?と妻も大声になっています。

私「え?友人J?(何を今更)」

そう友人J!絶対に来てくれるよ!と妻。

息子「そうしようよ、お父さん。なんで最初から呼ばなかったの?」

私「今更そんなことを言ってもしょうがないでしょ!」

腕が限界に達しようとしている時は、人はとにかく大声になってしまうものかもしれません。

私は呼吸を整えつつ、とにかくプルプルした腕をなんとか維持します。

ちょっと私電話してくるね!友人Jに電話しなきゃ。あなたの携帯はどこ?と妻

「リビングにある!」

階段が塞がってるからリビング行けないよ!と妻。

私の携帯から電話するね!と妻。

「うん、(もう何でもいいから)わかった!」と私

プルルルル。(携帯音)

私の腕もプルプルです。

友人Jが電話に出てくれました。

スピーカーでこちらにも聞こえてきました。

J「どうした?」

妻「息子と旦那が椅子を上げようとして、階段から動けないの!助けて。」

友人J「え?ちょっと何を言っているのか分からないから、落ち着いて、もう一度言ってみて」

妻「そうだよね。えーっと、今Jはどこにいるの?」

友人J「ダウンタウンだよ」

ポートランドのダウンタウンからだと、我が家まで通常20分以上かかります。

「えーっとね。。。」妻は友人Jに状況を説明しようとしています。

友人Jが来るまでの20分、この重たいロッキングチェアを支えることはできない、と悟った私。

私は息子に言いました。

「少し休んで腕も回復してるはず。大丈夫!絶対にできるから!!!」

泣きそうになっている息子。

息子「うん、ポケモンカード買ってくれる?」

こんな父ちゃんの命がかかっている時に交渉するのか!?と思いつつ私の腕は限界に近づいていました。

「ポケモンカード!いいよ!(もう何を頼まれてもいいよ、と言っていたことでしょう)」

何度も言いますが、私の腕はプルプルです。

プルプルなんてポケモンもいるんじゃないか、そんなことを思う余裕もありませんでした。

よし、とポケモンカードで元気が回復した息子が鼻息を荒げながら、ハンドトラックを持ち上げます。

「いくよ!」と全力で下から押し上げる私

そして、なかなか動かなかったロッキングチェアが、ついにまた1段上がったのです。

やったあがったよ!と息子。

「そう、その調子!」と私。

息子もコツを掴んだのでしょう。

ロッキングチェアが持ち上げっていきます。

また一段。

妻「あ、動き出した!」

友人J(携帯)「え?何が?どうした?」←まだ状況が掴めていない友人J。

5段、6段、7段

どんどん上に上がっていきます。

私ももうヤケクソです。

例え、これでロッキングチェアに押しつぶされても本望だ、と思いながら(んな訳ない)も、バランスを崩しそうになりつつ、私も極限まで押し上げました。

8段、9段、10段。

気持ちは巨大な岩を持ち上げたエレン。

トロスト区の壁を塞がなければ、と全力で岩を持ち上げた進撃の巨人エレン。

そして最後の11段!

いけー!

いった!

ロッキングチェアは、ついに1階から2階に運ばれました。

やった!やったよ!

「よくやった息子!」と妻

ポケモンカードだからね!と息子。

「もちろん」と、とにかく命拾いしてほっとしている私

家族3人でハグです。

家族3人が達成感でいっぱいの中。

友人Jの声が携帯から聞こえてきました。

「え?何が起きたの?どういうこと?大丈夫なの?」

あ。。。。

ごめんよ、友人J。

電話で助けを求められながら、状況説明も十分にされず、そして問題が勝手に解決してしまった、という珍事件。

友人Jに状況を説明しました。

カクカクシカジカ、と。

すると、彼は言いました。

「今から自分が行っても20分以上かかっていたし、とにかく皆が無事で良かったよ。またいつでも電話してくれよ」

まさに神、友人J。

というわけで、無事にロッキングチェアは2階にあげられたのでした。

よかった、誰も怪我しなくて。

というわけで、わが家の2階には無事にロッキングチェアが設置されたのでした。

めでたしめでたし。

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