息子が通っている日本語幼稚園「巣鴨キッズ」の時間が1日3時間から4時間に伸びた。

現場の先生たちは負担が増えるのだが、息子を預ける立場としては、非常にありがたい。

そして、1時間の延長が、親の立場だとこんなに自由感を得られるなんて。

まるで、大学時代にファイナルを終えた時のような爽快感。

不思議なもので、この4時間も慣れてしまえば、感謝を忘れてしまうのかもしれないが。

自由な時間を存分に味わうために、家の掃除をした。

お気に入りのジブリ音楽メドレーをかけながら。

ルンバを走らせて、自分はスイッファー(クイックルワイパー)で動き回った。

我が家はルンバにお任せというよりも、ルンバとともに掃除する。

ふと気になったので、ソファの下もスイッファーで突っついてみた。

そうしたら出てくる出てくる。

息子のオモチャ。

毛糸の玉。

小銭。

スリッパまで。

おおい!息子よ!犯人はお前か!と叫びたくなるほどに。

でも、この隠れたものたちを見ていて、なんだか息子がいつか旅立ってしまうことを想像してしまった。

本当に子供の成長とはあっという間なのだ。

それは毎日会う塾の子達で十分わかっている。

息子も本当にあっという間に今の年齢になってしまった。

そのうち、お父さんお母さんとは外出してる暇なんかない、と言われる時がくるのだ。

塾生の高校生たちがそう言っているように。

息子もあっという間に家を巣立って行くのだろう。

私も妻も20歳前後で日本を出て、北米に来た身である。

親の寂しさなどつゆ知らず。

そんな両親の息子。

もしかしたら、15歳にして、インドに高校留学行ってくる、なんて言ってくるのでは、と想像してしまう。

もしそうなったら息子との時間はあと11年だ。

ジブリ音楽に、ソファ下にあるオモチャ、たったこれだけのことなのに、息子との限りある時間について考えてしまった。

いつかこのおもちゃが懐かしく思える時がくるんだろうな、と。

想像していたら、なんだか涙ぐんでしまった。

息子がいるだけで、騒がしい我が家。

息子がいるだけで、どんどん散らかる我が家。

でも、そんな息子がいなければ、どれだけ静かになってしまうのだろう。

どれだけ片付けが楽になってしまうのだろう。

まだ来てもいない現実を想像して、涙ぐむなんて。

いつもの幼稚園の時間が3時間から4時間に伸びたら、普段考えないことを考えてしまった。

息子が帰ってきたら思いっきり抱きしめようと思う。

家だってとことん散らかしてもらおう。

今この限りある息子との時間を存分に楽しもう。