静かになった夜の10時ごろ、私はリモート会議中。妻と息子はベッドの中。

そんな時、我が家のドアをノックする人が。。。

身の危険を感じた妻がとった行動は。。。

ちょっと背筋が凍る話。。。なわけが無い小さな奇跡の積み重ねなお話。

このストーリーのほとんどは、夫である私と妻の二人の証言で進められます。

人との関わりが生み出した小さな奇跡をご堪能ください。

ポートランド郊外、シアトル郊外、バンクーバー・キャマスWAにて巣鴨アドバンススクール(学習塾)とビーバートンにて巣鴨キッズ(幼稚園)を運営しています、みとのやです。

夫の証言

それはとある静かな夜のことでした。

私は電話会議をしていました。

すると、外からケンカしてる声が聞こえてきたのです。

男性と女性でスペイン語でした。

黙れ!などと言い合っていたことだけは分かりました。

こんなご時世です。皆、ストレスが溜まっているのでしょう。

どうせすぐ収まるだろうと思って、私はイヤホンをして会議に戻りました。

一つ目の電話会議の後、携帯に届いたメッセージなどの返信をして、すぐに次の電話会議に臨みました。

もう夜の10時になろうとしていました。

妻の証言

それは暑い1日でした。

外から男女の口論が聞こえてきたのです。

柵越しだったので、彼らの姿は見えず、はっきりとは聞こえなかったのですが、それは英語ではありませんでした。

なんだか嫌な予感がしていました。

その後、息子を寝かしつけ、私もウトウトしていました。

ふと気づくと玄関の方からノックの音が聞こえてきました。

ちなみに我が家には呼び鈴はありません。

またセキュリティカメラなどもありません。

携帯を見ると、夜の10時。

まさかこんな時間に誰かが来るなんて。

セールスか勧誘か、夜の10時に来るなんて失礼な人だと思っていました。

放っておけばすぐにいなくなると思い、とにかく私は息子の部屋で静かにしていました。

部屋から出てしまえば、玄関ドアの窓から見えてしまうからです。

ただ、ドアのノックは続きました。

ドンドンドン!

ドンドンドン!

ドアを叩く音に私は次第に怖くなってきました。

こんなご時世です。

色々なことが頭をよぎりました。

部屋から顔を出して玄関を一瞬だけ覗いてみました。

玄関ライトはついていなかったので、暗くて見えなかったのですが、ピンク色のTシャツだけは分かりました。

体も大きく、女性でないことは確かでした。

ドアを叩く音は、続きました。

すると、その人はドアだけでなく、ドア横の窓も叩き始めたのです。

もしかして、窓を破って侵入?

どうしよう。警察。。。

でも警察を呼ぶ前に、夫にも伝えないと、と思ったのです。

今まで夫の仕事中は部屋に入ったことはなかったのですが、今回ばかりはと思い。

通路越の向かいの夫の部屋に入りました。

その時、通路を通ったので玄関から私は見えていたと思います。

ドアを開けると、夫はびっくりしていました。耳にはイヤホンをしていました。

夫の証言

会議中に妻が突然部屋に入ってきたのです。

仕事中に妻が部屋に入ってくることはなかったので、びっくりしました。

私は耳についていたイヤホンを外しました。

すると妻が静かに伝えてきました。

「誰かいるの、玄関に。」

耳をすますとドアを叩く音が聞こえました。

ドンドンドン!

ドンドンドン!

ふとスペイン語での男女の口論が頭に浮かびました。

まさか。

妻が怯えながら言いました。

「警察呼んだほうがいいよね。。。」

私は会議を中断しました。

妻の証言

主人は最初驚いた表情をしていました。

その後、会議を中断し、ふと何かを思い出した様子で、主人はそのまま玄関ドアに直行しました。

行かない方がいいよ!危ないよ!と止めたのですが。

大丈夫、〇〇さんだから、と。

はっきりと聞こえなかったので、私は何がなんだかわからず。

念のため、部屋から顔だけ出して、主人の様子を後ろから見ていました。

夫の証言

私は携帯の返信を思い出し玄関に向かいました。

そしてドアノブを左に回し、扉を引きました。

そこには、ご近所に住む坂元さんがいました。

ピンクのTシャツを着ていました。

キョトンとした表情でした。

手に持ったお皿には2匹のカニが。

私はたまらず吹き出してしまいました。

腹を抱えて笑ってしまいました。

あれほど笑ったことがあったでしょうか。

お腹が痛くて痛くて。

涙さえ出てきてました。

妻も部屋から飛び出してきました。

「なんで?なんで坂元さん?」

怯えた状態からの安心で興奮する妻。

笑いころげる旦那と興奮さめやらない奥さんを見て、坂元さんの頭の上には「???」が浮かんでいました。

全ての謎は坂元さんの証言で明らかになります。

坂元さんの証言

その日、私は海岸でダイビングをして、カニを何匹も獲りました。

オレゴンで良く獲れるダンジェネスクラブです。

近所のみとのやさんにもお裾分けしようと思いつきました。

夜も遅かったので、失礼かなとは思ったのですが、カニは茹でたてが一番美味しいですから。

携帯でメッセージを送りました。

「夜食のカニいりますか?茹でたてです」と。

するとすぐに返事が。「欲しいです。」と。

私はカニを茹でて、お皿に置いて、車で向かいました。

夜の10時でした。

すると家の玄関は真っ暗でした。

あれ?おかしいな、と思いドアをノックしました。

すると誰も出てこないのです。

家の中はライトもついていて、カーテン越しにリビングも見えていました。

ただ、誰もいる気配がありませんでした。

私は、ドアをノックし続けました。

みとのやさんは居るはずなのにおかしいな、と思って心配になりました。

もしかしたら、私がカニを茹でている間に何かあったのかな、と思って。

こんなご時世ですから心配になりました。

私は力強くノックしました。

絶対にいると思ったので、その後に、ドア横の窓もノックしました。

すると、誰かが、横切ったのが見えました。

人がいる!と思い、私は少し安心しました。

でも、誰も出てくる気配がありません。

玄関は暗いし、誰かは逃げるように横切るし。

念のためにもう一度だけノックをしました。

するとドアが開きました。

私の顔を見るなり、みとのやさんがお腹を抱えて笑っていました。

その後、奥さんも怯えた顔で出てきて、なんで?と問いかけられました。

私はとにかくみとのや家が無事なこと、カニを届けられたことで安心しました。

夫の証言

全ては私の責任でした。

私は会議の合間に坂元さんにカニが欲しいと返信していたのです。

そのことを妻に伝え忘れて、イヤホンをして会議に入ってしまっていました。

そのためドアのノックも聞こえてませんでした。

坂元さんが家にカニを持ってきてくれたにも関わらず、妻は不審者が来たと思い込んでしまったのです。

また坂元さんは坂元さんで、静まりかえった我が家をみて不安になったのだと思います。

だからこそ何度も何度もドアをノックして、窓もノックして安否を確認しようとしたのでしょう。

坂元さんには大変申し訳なかったです。

ドアを開けた時、坂元さんのキョトンとした表情は今でも忘れられません。

妻からお叱りを受けました。

「坂元さんが来るって言ってよね!すっごい怖かったんだから!警察呼ぶところだったじゃない!」

その後

夫婦で大笑いしながら、茹でたてのダンジネスクラブをいただきました。

めっちゃ美味しかったです。

オレゴンに来たらダンジネスクラブは絶対に食べてください。日本だと高いですからね。

それにしてもたくさんの「もしも」が重なった奇跡のようなできごとでした。

もしもスペイン語での口論がなければ。

もしも妻が息子の部屋で寝落ちしてなければ。

もしも玄関外のライトがついていれば。

もしも私が会議に入ってなければ。

もしもイヤホンをしてなければ。

もしも坂元さんがくることを妻に伝えていれば。

たくさんの「もしも」が重なった偶然でした。

緊張感が高まった後だからか、夫婦でお腹を抱えて笑いました。

涙がちょちょ切れるほど笑いました。

茹でられた赤いカニはまるで我々人間を鼻で笑うかのように私たちに語りかけていました。

変な想像力働いちゃうよね、こんなご時世だからね。でも、こんなに笑えるのは人と人との関わりがあるからなんだよね、と。

人と人が関わるとこんな小さな奇跡にお腹を抱えて笑えるもんなのだと改めて思いました。

ま、全ては報・連・相を怠った私みとのやの責任なんですけどね。

終わりに 坂元さんについて

せっかくの機会なので、オレゴンダイバーの坂元さんを紹介させてください。

オレゴンでダイビング体験したい方は、ぜひ暗闇の中必死にカニを届けてくれた坂元さんにご連絡を。

坂元さんのyoutubeチャンネルはこちら ↓

アメリカ西海岸、オレゴン州、ワシントン州を中心にダイビングライセンス講習、体験ダイビング、水中ガイドをさせていただいています。

大自然に囲まれたこの場所には、海産物豊富な食卓の海、北国ならではの珍獣と出会えるミステリアスな海、透明度抜群の湖、サーモンが群れる川。 アメリカ合衆国ならではの、きっと今までに体験したことがない自由気ままな冒険ダイビングが皆様を待っております。

これからダイバーになりたい方、アメリカ合衆国オレゴン州、ワシントン州で水中ガイドが必要な方は是非ご連絡ください!

坂元さんのダイビングのウェブサイトはこちら↓

https://www.beyond-portland.com

もし、皆さんのお家にも夜の10時に訪問者が来たら、焦らずに落ち着いて対応ください。

まずは夫婦間で確認を。

もしかしたらカニを持った坂元さんかもしれません。