先日、巣鴨キッズで、2021年最後の登園日があり、かわいい園児たちが歌とダンスを披露してくれました。そして、私も園長サンタとして登場しました。

ポートランド郊外、シアトル郊外、バンクーバー・キャマスWAにて巣鴨アドバンススクール(学習塾)とビーバートンにて巣鴨キッズ(幼稚園)を運営しています、みとのやです。

30年以上前、私もクリスマスを楽しみにしていた幼児の一人でした。

今年もサンタさんが来てくれるかな。

どんなプレゼントがもらえるのかな。

窓から見える夜空を見ては、24日の夜に布団の中に入ったものです。

そして、こうも思っていました。

家にプレゼントをおいてくれるサンタさんこそが本物なのだ、と。

幼稚園に来てくれるサンタさん、あれは本物ではない、と。

そう、私が幼児の頃、通っていた幼稚園にもサンタさんが来ていました。

そして、一人一人にプレゼントをくれたものです。

あの時から30年以上が経ちました。

私もアラフォーならぬ、完全にフォーティーに。

気づいたら、そこは幼稚園の舞台裏の控室。

真っ暗な控え室の中で、サンタさんの赤い服に着替えている自分がいました。

園長サンタの心の叫び

とってもかわいいダンスと歌を披露してくれた園児たち。

それはそれは、鼻血が出そうなくらいかわいかったのです。

そんな舞台裏です。

真っ暗な舞台裏の控え室にて、サンタの衣装を着た、1人のおじさんが潜んでいました。

こんなご時世ですから、マスクもして、その上に白いヒゲをつけました。

サンタさんは体型もふくよかだろう、お腹も出ているだろうということで、お腹にも毛布を仕込みました。

しかし、ベルトがありません。

本来あるはずなのですが、どこにも見当たらないのです。

お腹に毛布を仕込みつつも、お腹を手で押さえないといけません。

これではお腹が出ているサンタ。

ではなく

お腹を下したサンタです。

サンタさん、トイレ大丈夫?と園児に聞かれてしまうかもしれません。

あぁ、サンタさんって想像以上に大変だなって思いながら真っ暗な舞台裏でひっそりと時を待ちました。

暗く静寂な空間にいると、今までのサンタさんのことが思い出されました。

今まで、様々な場面で表舞台に立ってくれていたサンタさんたち。

彼らも家の30年ローンを抱える社会人だったのかもしれません。

俺、何やってるんだろ。。。と人生に迷っていたアラフォーのおじさんなのかもしれません。

「えぇ!本物のサンタじゃない!」と子どもたちに言われないか、ドキドキしていたことでしょう。

でも、そんな歴代のサンタさんたちを思うと勇気が湧いてきました。

ここで自分だけが怖気付いてはいけない、と私は思いました。

できる限りのことをやるんだ!と思っていると、私は、ふと気づきました。

いつもの声を出していたら、すぐに園長先生であることがバレてしまう、と。

そして、考えました。

サンタさんと言ったら、イケボなイメージ。

イケてるボイス(声)を略して「イケボ」。

サンタといえば、ダンディーな声。

低いダンディーな声、自分に出せるのか???

試してみましたが、低いと、どうしても十分な声量が出ません。

どうしよう、そんなことを考えていると、トントンとドアがノックされました。

サンタさん出てきてください、という園の先生の合図です。

あ、どうしよう。

まだ低い声が。。。準備が。

しかし、もう考える時間は残されていません。

そして、光のない舞台裏からドアを開け、控え室から出ると、そこはまるで光り輝くライブ会場でした。

暗い世界から一転、天井の蛍光灯がやけに眩しい会場です。

もうやるしかありません。

園児たちの顔を見る余裕もありません。

園の先生たちがキューを入れてくれました。

「みんなサンタさんが来てくれたよ!」

私は園児たちを視界に入れないように、とにかく、大きな声を出しました。

「ホウホウホウ!」と。

あれ?なんか想像していたサンタさんの声じゃない。なぜこんな高い声???

私は心で思いましたが、もう今更、後戻りはできません。

送信ボタンを押してしまったメールは2度と戻ってこないのです。

賽は投げられたのです。

自分の想像よりも3オクターブほど高い声。

私は繰り返しサンタさんの「ホウホウホウ」と部屋中に響き渡る声を出していました。

ふと見ると、視界の下の方には、園児たちが目を丸くして座っていました。

完全に表情がこわばった園児もいました。

目を逸らして下を見ている園児もいました。

「え?誰この人?」とでも思ったのでしょうか。

とにかく園児たちは凍りついていました。

こうなってしまっては、引き下がることはできません。

もう突き進むのみ。

「ホウホウホウ!みんなにプレゼントを持ってきたよ!いい子にしていたかな?」

ちょっとアクセントも入れて、少し外国人っぽいサンタさんのイントネーション。

それでも無反応な園児たち。

反応がなければないほど、サンタは無駄にしゃべってしまうもの。

「ホウホウホウ」

無駄にホウホウホウを連発するサンタさん。

ホウホウホウってどういう意味なんだろうか、私は現実逃避をしたくなっていました。

しかし、そんなホウホウホウは虚しく響き、幼児たちは無反応です。

。。。

「。」を3つ。

いや。。。を3万個くらい書きたい気分でした。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

園児たちは思っていたかもしれません。

「このおじさん、園長先生だよね?」

「いい大人が赤い服装で、何をしているんだ?」

「お腹を押さえているけど、もしかしてトイレ行きたいの?」と。

しかし、私はサンタという任務を遂行する大人です。

私は負けずに甲高い声で、「〇〇ちゃん、メリークリスマス!」と言ってプレゼントを渡します。

現場の先生たちも、「サンタさん来てくれてよかったね!」とフォロー。

園児の目を現実からそらせようと大人の対応をしてくれました。

園児たちもプレゼントをもらうと、ありがとう、と初めて声を出してくれました。

園児たちも緊張していたのでしょう。

そして、任務を遂行したサンタさんは「また来年会おうね!メリークリスマス!」と言って舞台裏の控え室に戻りました。

いえ、サンタさんの祖国に帰ったのです。

なんとか最後の最後まで、お腹を押さえ続けることにも成功。

園児たちから見たら、私はお腹が出ているサンタさんだったのか。

それとも、お腹を下したサンタさんだったのか。

真っ暗な舞台裏に戻った私は。

まるで夢を見ていたかのような気持ちでした。

まるでサンタさんが私を動かしていたのかもしれない、とさえ思いました。

あれは本当に現実だったのか、と疑問に思いつつ、私はサンタの衣装を脱ぎ、園長先生の姿に戻ったのでした。

サンタとは

サンタとは一体なんでしょうか。

30年以上前、通っていた園にサンタさんが来てくれていました。

そして、今回の私。

そして、今から30年後。

もしかしたら、園児たちの中から未来のサンタさんが出てくれるかもしれません。

家庭を持つお父さんお母さんになっているかもしれません。

家の30年ローンを抱えているかもしれません。

もしかしたら、人生の岐路に立っているかもしれません。

その時に、かすかでもいいので、一瞬でもいいので。

そういえばうちの園にもサンタさん来て、頑張ってくれていたよな、と思ってもらえたら。

なんか、めっちゃ高い声でホウホウホウって言って、お腹押さえていたよな。。。と思い出してもらえたら。

あのサンタさんも色々なことを抱えていたけど頑張ってたんなら、私ももう少し頑張ってみるか、と思ってもらえたら。

彼らの幸せなクリスマスを願いつつ。

メリークリスマス。

おまけ:サンタトラッカー

毎年、↓のサンタトラッカーを見せながら、子どもにサンタさんの位置を伝えています。

ゲームなど、子どもとも楽しい時間を過ごせますので、おすすめですよ。

サンタトラッカー

↓ を押して拍手してもらえると、サンタさんもお腹の痛さが和らぎます!