先日参加したJASO(オレゴン日米協会)のイベント。

それはそれは大人数でしたよ。

最初は、嫌だなぁ、嫌だなぁ、って思っていました。

稲川淳二さんのようにつぶやいていました。

名刺交換、嫌だなぁ、と。

だって、校舎で生徒たちといた方が楽だから。

でもね、先輩にこう言われたことがあるんです。

「塾の教育理念を語ってこい」と。

え? 塾の教育理念ですか?名刺交換で?

「人材育成やってます。人を大事にできる人材を育ててます」と言ってこい、と。

教育理念と目に見えないものの大切さ

改めまして、私は塾の先生でもあり、園長でもあり、日々子どもたちと関わっている者です。

家には幼児と小学生がいるので、目が覚めて寝るまで子どもと接しています。

うちの塾や園の理念は「自分を大事に、周りの人を大事に」です。

もちろん、数学は大事。

英語も大事。国語も日本語も大事。

テストの点数だって、資格取得だって、どこどこ大学合格だって大事。

ハーバードだろうがスタンフォードだろうが、スタンバードだろうが、ハーフォードだろうが、大学合格は大事。

全部大事。

全部大事だけれど、「本当に大切なことは目には見えない」と『星の王子さま』が言っていたじゃないですか。

あれは、『星の王子さま』ではなく、キツネくんだったか。

その目には見えない部分って何か。

目に見えるのが実績なら、目に見えないのは志でしょう。

「何のために勉強するのか」という志の部分。

何のために勉強するの?

こんな質問をすると、生徒たちはこう答えます。

「将来のため!」「食っていくため」「いい会社に勤めるため」と。

そして、それは否定すべきことではありません。

誰だっていい会社に勤めたいし、誰だって働かなければ食っていけません。

でもね、それは目的の半分でしかありません。

つまり、うちの教育理念である「自分を大事に、周りの人を大事に」の前半部分だけ。

後半は、周りの人を大事にするための勉強。

そんなきれい事やん理想論やん、って思う人もいるかもしれません。

そんなこと言っても、大事なことはお金を稼ぐことでしょって。

実際に、息子にそう言われました。

「そうは言ってもね」

もう親の顔が見てみたい!

お前の父親はどこの誰じゃ!と。

うん、お金を稼ぐことはとっても大事。

お金を稼がなければ、住む家も失ってしまうから。

明日食べるものが買えないから。

それは否定できません。

でも、その先に「誰かのため」というものがないと、人の心は折れやすい。

ポキッて折れます。

ポッキーのように折れます。

ポキポキ折れていきます。

なぜなら、人は自分のためだけでは踏ん張れません。

誰かのためだから踏ん張れる。

これは誰もが経験済みなのではないでしょうか。

家族のためだから、仕事で踏ん張れるお父さんお母さん。

家族のためだから、料理できるお母さんお父さん。

誰かのためじゃなかったら、踏ん張れないし、料理だって適当になることでしょう。

私だって、自分のためだけだったら料理なんてしません。

チーズとナッツを食べて終わりにします。

みんなに喜んでもらえるかな、と思うからチーズケーキを作るわけです。

人は誰かのためだから面倒なことにも挑戦できる。

辛い時も踏ん張れる。

「ふれっふれっお父さん、ふれっふれっお母さん!」ってお母さんの一緒の歌が脳内再生されます。

「ドンスカドン!ドンスカドン!」って。

そして、「誰かのために」って言ってる人を応援したくなりますよね。

世のため人のために頑張ります!って人を、応援したくなりますよね。

「自分、いい会社に入りたいんで、いい給料もらいたいんで」って人を応援したくなります?

ふーん、がんばってねって思う程度。

もしプロ野球選手が、

「いやぁ、一本ホームラン打つとボーナスもらえるんで、応援してくれると助かります!」

とでも言っていたら、応援なんかしないでしょ。

もしプロサッカー選手が、

「年棒の高いチームに入りたいです」って言っていたらダサいですよね。

でも、多くの保護者は、子どもにいい会社に入ってもらいたい、と思うわけです。

給料の高い会社に。安定した会社に。福利厚生がしっかりしている会社に。いい仕事についてもらいたいって思うわけです。

別に思っている分にはいいでしょう。

でももしお子さんも同じようなことを言っていたら、その子は周りから応援してもらえるのでしょうか。

応援される人は強くなれますが、応援されない人は、辛い時に折れます。

心が折れます。

私だって、時に折れそうになります。

あぁ、もう教育とか無理かもしれん、って思うことが多々あります。

日々の業務を放り出して、南の島に行きたいって思うことがあります。

南の島の大王は……♪ってフラダンスしながら歌っています。

でも、そんな時に、生徒たちから勇気をもらうんです。

この前も、もう日本に帰ってしまう生徒からお手紙をもらって、報われた気がしました。

「私も先生のような大人になりたいです」と言われて、背筋が伸びました。

ひゃあ、頑張らないとって思えました。

ヒャぁ、って言うのが正直な感想なのです。

勉強は何のため?

結局、人のために動いている人は、力を発揮できるし、応援されるし、と良いことづくめなんですよね。

世のため、人のためって動いている方が、実は巡り巡って自分のためでもあるんですね。

だからね、大人は子どもに伝えるべきだと思います。

「どうして勉強しなくちゃいけないの?」って聞かれた時に。

自分のためでもあるし、周りの人のためでもあるんだよって。

そんな教育理念を伝えよう! と名刺交換をしてきました。

そうでした。私は名刺交換に行ったんでした。

タイムスリップしていました。

ドンスカドンを歌いたいわけでも、南の島の歌を歌いたかったわけでもなく。

私は名刺交換にイベントに行ったのです。

たくさんの人と名刺交換をしました。

教育理念を伝えられたり、伝えられなかったり。

そうしたら、教育理念を伝えた一人のビジネスマンの方に言われました。

「いい話を聞けました。心が洗われた気分です。明日からまた頑張れます」と。

私たち大人は、目に見えない部分こそ子どもたちに伝えるべきではないでしょうか。

勉強は何のため。

それは自分のためでもあるけれど、周りの人のためでもあるんだよ、と。

周りの人のためだからこそ、踏ん張れるし、応援してもらえるんだよ、と。