アメリカから見た日本と題して、何度か投稿しております。

アメリカから見た日本の印象、日本人から見たアメリカの印象を発信することで、何かしらの再発見につながってもらえたらな、と思っています。

今回の議題は、どうしてアメリカ人は別れ際にそっけないのか、です。

ポートランド郊外、シアトル郊外、バンクーバー・キャマスWAにて巣鴨アドバンススクール(学習塾)とビーバートンにて巣鴨キッズ(幼稚園)を運営しています、みとのやです。

別れを惜しむ日本人

数多くあるアメリカ文化の特徴の一つとして私は今まで全く理解していなかったことがあります。

それは「別れ際にそっけないアメリカ人」というもの。

別れ際にそっけない、とはどういうことでしょうか。

説明する上で、まずは日本人の別れ際というものを紹介しましょう。

例1:空港にて

例えば空港。

これから旅たつ人を見送る側だとしましょう。

元気でね!とか。

行ってらっしゃい!とか言って。

ご飯しっかり食べるのよ、とか。

惜しいお別れをするわけです。

旅たつ人が手荷物検査を通って、見送る人は相手が見えなくなるまで見送るわけです。

ふっている手だけが見えても、お互いに手をふるわけです。

美しい光景ではないでしょうか。

相手が見えなくなるまで、いえ、見えなくなっても見送り続ける。

これぞ典型的な日本のお別れの作法。

例2:家に遊びに来た人に対して

そのほかの日本のお別れ作法の例としては、家に遊びにきた人が帰るとき。

遊びにきた相手が家から出ていきます。

楽しかったね!とか、またね!とか言いながら。

そして、相手が車に乗って帰ろうとするわけです。

今日は来てくれてありがとう!

と言って、家を背にして見送るわけですよ。

相手の車が見えなくなるまで手をふり続けてサヨナラをする。

相手も相手で、見えなくなるまで手をふり続ける。

日本人なら美しいこととされている相手が見えなくなるまで見送る行為。

見えなくなっても手を振り続ける。

これこそ日本の作法、礼儀。

アメリカ人の別れ際はそっけない

では、アメリカ人の別れ際はどうか。

これが違うんですよね。

一言で言うとそっけない。

空港で最後のお別れ、とハグをしている親子はたくさんいるけれども、「I love you」と言い合っている夫婦もいるけど、それが終わればお互いの方向を向いてスタスタ歩いていく。

見えなくなるまでサヨナラをする人もいるにはいますが、数少ない。

めっちゃハグしつつ、ハグしたらあっけらかんとしたもの。

家に友人が遊びにきても、お別れの時は、見えなくなるまで見送らず、家のドアを閉めておしまい。

もう、それはそれはそっけない。

別れ際がそっけないのです。

日本人である私は、このアメリカの文化だけは理解できない、と思っていました。

そんなに見送りたくないのか?

そんなに自分の時間が大事か?と。

アメリカ人は自己中か?と。

しかし、こんな疑問をアメリカ人である友人にぶつけると、全くもって予想外な答えが。

友人宅にて。

「それ(アメリカ人は自己中)は違うと思うよ。自分の時間が大事なんじゃない。早く帰りたいと思っているわけでもない。アメリカの人は相手のことを思って早々とお別れしているだけだよ」と。

私は聞きました。

え?アメリカ人は自分の時間が大事なんじゃないの?早く帰りたいわけじゃないの?どういうこと?

友人は続けます。

「だって、見送られる方に気をつかわせてしまうだろう」と。

え?

見送られる方に気を使わせてしまう???

ちょっと解説が必要かもしれません。

確かに見送られる方としては、気を使うことも正直あります。

空港でのお別れの例でいきましょうか。

飛行機の出発時間の心配しているのに、間に合うかどうかを心配しているのに、最後まで見送ってくれる人のことを考えると手を振り続けなくちゃいけない、とか。

頭の中は飛行機のことを考えているのに、手だけは振るとか。

訪れた人の家から自宅に帰る例でも。

人の家のドアを出て、車の中でゆっくりできません。

Googleマップでも開いて、家までの道のりを確認したくても、早く車を出発させなくちゃ、と焦ってしまいます。

相手は家から出てきてお別れしようとしてくれているのだから。

相手を思うと早く出発しなくては!となります。

そうか。

アメリカ人は、相手のことを考えて、お別れをそっけなくしているのか!

確かに!相手に気をつかわせないてないな、そのそっけなさ!

「確かに、そういう人もいるとは思う。」友人は続けます。

「自分がやりたいことがあって早くお別れをする、という人も確かにいる。そういう人は失礼だと思う。でも、相手のためを思ってお別れをそっけなくするのはとても素敵なことだと思うんだ」と。

おぉ!

確かに!

アメリカ人は自己中だなんて、大変申し訳ございません。

完全に私の意見は180度変更を余儀なくされました。

まとめ:アメリカ人の別れ際の謎が解けた

もう在米20年近くになるのに、アメリカ文化の謎が一つ解けました。

アメリカ人は自己中でも、冷たかったわけでもなく、相手のためを思って、そっけないお別れをしていたのか、と。

まるでハンマーで頭を打たれて星がキラキラしている感覚です。

アメリカの方々、本当に申し訳ありませんでした。

この場を借りてお詫び申し上げます。

このブログ、完全に日本語だけど。

やはり文化の中に根付いた礼儀作法には相手を思いやる心があります。

その礼儀作法は文化によって形は違えども、相手のためを思ってする行為なのだと。

だからこそ、文化として根付いているのだ、と。

エピローグ

アメリカと日本の別れ際の作法について話し合った後、私が友人宅を出ようとしたら、ドアを開けながら、彼は私に聞いてきました。

「見えなくなるまで見送ろうか?」と。

私は笑顔で、アメリカ流でお願いしたい、と。

家の中でお別れをして、彼はドアを閉めてくれました。

私は車の中でゆっくりとGoogleマップを開いて、自宅への道のりを確認できたのでした。